知り合いの話。
彼の祖父はかつて猟師をしていたという。
遊びに行ったときに、色々と興味深い話を聞かせてくれた。
祖父:「ツチノコ?あぁ見たことあるよ。いやいや違う、世間様がいうツチノコかどうか知らんが、そういうビール瓶みたいな形の、変な生き物を見たことがあるってことだ。ちょっと平べったかったが。もっともありゃ蛇なんかじゃないけどな。目鼻口なんかどこにも無かった」
祖父:「強いて一番近い物を挙げンなら、蛭だな。黄色のヌルヌルしたでかいのが、樹の上から下通る奴に飛び掛かってくるんだ。山刀で無理矢理引っぺがすんだけど、これがまた簡単には死なないみたいでさ。頭とか切り落としても、そっから新しいのが生えてくる。その場ですぐに生え代わるわけじゃないが、色が違っとるんで一目でわかる」
祖父:「これがよォ、変な切り方してっと、頭が二股に分かれて二つ生えてきたりしてた。酷いのになると、頭だけじゃなく尻の方まで、何股にも分かれた気持ち悪いのがいた。つっても、一体どっちが頭でどっちが尻かなんて、誰も本当のところはわかりゃあせなんだが。出る山は決まってたけど、あまり出会しはせんかった。ここ十数年は出たって話も新しくは聞かんし、もういないのかもしれねえナ」