ちょうど5年前の今頃、私は化粧品の販売営業をしていました。。
決められた地区を一軒一軒回ると言うとても面倒な仕事です。
ある城下町の担当の人が寿退職し、私がしばらくの間その町も受け持つ事になり、嫌々その町に行っていました。
そこは昔ながらの家が建ち並び、車が通れないほど狭く昼でも暗い道がたくさんあるので歩いて町を回っていました。
細い路地に入ったときです。
鬼に遭遇しました。
身長2メートルほどで黒い布からタイヤほどある大きな顔だけ出していて、おでこから角がたくさん生えていました。
鼻が大きくニタニタと笑っていました。
後ろにはまるで二人羽織をしているみたいに布が広がっていて、後ろに6人ほどひとが一列に並んで入っていました。
布が長くて足下しか見えませんが、サラリーマン風の足の後ろにハイヒールを履いた女の人の足、長靴の子供…。
怖くて声も出せないでいると、先頭の鬼が布を少しめくってまるで入りなさいと言っている様でした。
私はただ嫌だと首を振っていると大きな顔は怒り顔になって路地の奥へと入って行きました。
ゾロゾロと後ろの人達を連れて…
姿が見えなくなると私は急いで事務所へ戻りその場所の担当を辞めました。
その後、私の同期が担当になりましたが、何事もなさそうでした。
もうその仕事は辞めましたが、今でも怖くてその城下町を一人では通れません。