どんどん中に入っていって行く

カテゴリー「怪奇スポット」

学生の頃、友達が車を持っててよく深夜にあても無くドライブしてたんです。
横浜や都心や色々行きましたが、よく心霊スポットなんかにも行ってました。

いつも野郎4~5人で行ってたんですが、その中に一人ちょっと霊感といいますか、感じやすい友達がいました。
普通にドライブしていてもその友達が嫌な感じがすると言うと、決まってその先にお墓があったり、道路に花が飾ってあったりしました。

ある夜、みんなで深夜に樹海に行ってみようという話になりました。
樹海に近づくに連れその霊感(?)が強い友達の口数が減り、とうとう気分を悪くしてしまいました。

自殺を思いとどませる看板が目に付くようになり、みんなで車を降りては見たものの、その友達の状況を見て、それ以上足が進まなかった。

辺りは真っ暗でやっと目が慣れてきた頃、霊感なんか全く無いって友達がいきなり小さな声で「あっ・・・」といいました。

その声で話をしていた僕らはいきなり沈黙・・・。
静けさが耳に響く初めての感じに顔が引きつりました。

他の友達が「寒いから車に戻ろう」と言ってみんなで車に戻ったんだけど、車走らせて樹海から離れるまで誰一人何も話さなかった。

大きな通りに出てやっと落ち着いたとき、体調不良でずっと車にいた霊感がある友達が「何見たの?」ってボソッといいました。

もう僕はゾッとして鳥肌が立ちましたが、一体なんで「あっ」と声を出したのか知りたかったし、みんなきっと同じ気持ちだったんだと思う。
ちょっとジョーダンっぽく「幽霊みえた?」とか笑いながら話していた。

でもなんかいつもと違って「あっ」と声を発した友達はいたって冷静でいつもの様にジョークにものらず軽く流していた。

地元のコンビ二について少し空が明るくなった頃、皆でカップ麺すすりながらいつものバカ話をしていたら、その友達が「さっき見ちゃったんだよね・・・樹海の中に人影を・・・かなりはっきり・・・」と不意に言い出した。

でも地元に戻ったし明るくなり始めていたので、みんな「マジで~?」と余裕で話始めたけど、霊感がある友達と見てしまって友達は少し浮かない顔だった。

みんなテンションが高くなっていて「お前にも霊感?笑える」とはしゃいでいたら、見た友達が「あれ多分幽霊とかじゃないと思う。生身の人間だよ。髪型とかからして女の人だと思う」と言った。

言ってる意味が僕にはわからなかった。
友達もキョトンとしてた。
霊感がある友達が「うちらの車のライトを見て最後だし見にきたんじゃない・・・」と言ってやっと意味がわかった。

「気づいたときにはどんどん中に入っていって見えなくなってどうしたらいいかわからなかった・・・」と友達が言った。

その日は朝帰りしたのに僕は全然眠れなかった。

今までで体験した中で一番背筋が凍る体験でした。

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