今からちょうど11年前ぐらいだったが、夜九時の2時間ドラマの話が怖かった。
ある新婚夫婦がマイホーム購入の為、不動産屋を訪ねたところ、敷地や状態の割には格安の物件を見つけ購入する。
そこは古い和風屋敷の一軒家で、値段とは釣り合わない良条件の為、腑に落ちないところもあったが、やがては慣れて夫婦ともにその家に落ち着く。
それから一年ほどたった頃、妻がふと電気代の領収書がおかしい事に気付く。
なぜか合計料金が高いのだ。
季節は夏だったが、風通しも良い日本家屋の為にクーラー等もいらず、なおかつ自分自身もかなり気をつけて節電していたはずだった。
妻は電気会社に文句を言い、電気会社は「当社の計算に間違いは無い筈です」、と、つっぱねる為に、結局は後日に職員が確認に来るという事になった。
真夏に昼間に来た職員は二人掛かりで汗だくになって全ての電線コードを調べるが、どこにも異常は見つからない。
妻も渋々に納得し、職員も帰り支度を始めた時にもう一人の職員が、茶の間を通る一本のコードが途中で二つに分かれているのに気付く。
再び調べにかかった職員は、そのコードが茶の間の床下の続いているのを見て、妻の承諾を得て畳を引き剥がし、床下を確認する。
しかし床下から伸びたコードは土中にまで続いており、異常を感じた職員達は仕方なく、借りたシャベルで掘り起こし始める。
「なんじゃこりゃ。土ん中に冷蔵庫が埋まっとる!」
驚いた妻と職員達は、とにかくその古い冷蔵庫を、土だらけになった茶の間に引っぱり上げ、その扉を開けた。
扉を開けた妻は絶叫して腰を抜かし、職員達は庭へ走りゲーゲー吐いた。
冷蔵庫の中には凍りついた若い女性の裸の死体があった。
長く凍った髪の毛は内壁に張り付いてざんばらにひろがっており、その顔は恨めしそうに外を見やっていた。