メンヘラ主婦

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

メル友の主婦。
仮にAさんと呼ぶ。

チャットの映画部屋で会ったのだが、先方からメール交換を申し出てきた。
ちょうど彼女とも別れたばかりだったし、暇を持て余していたので承諾。
映画の話ばっかりでもなんなので、身の回りの話をするようになった。

彼女には、小学校と幼稚園に上がったばかりのお子さんふたり。
俺は母と二人暮し。
ご亭主が多忙のため、構ってくれないとか、寂しいとか・・・。
そんな事を言い出したのは、三ヶ月も経った頃だろうか。

あるときひょんな事から、Aさんのメル友Bさんと交換することになった。
同じチャットの部屋の常連だ。
これもやっぱりBさんのほうから交換を申し出てきたのだが・・・。

やっぱり俺としては、寂しいとか何とか言い出した主婦さんよりも、独身のOLさんと(同じ独身同士)交遊を結ぶのが、自然ではないか等と考え始めていた。
健康的だな、なんて。

・・・そのころ、Aさんが突如としてメル友を増やしだした。

男ばかり五人も・・・何故・・・。

ある夜、彼女がメッセンジャーでお話しないか、と言って来た。
俺は深く考えもせず承諾。

ところが、彼女が話し出した事は・・・メルト者のひとり、ある大学助教授。
映画論を講義しているのだが、コッポラとも交遊があるとか。
ま、この辺はふぅ~んていう感じで聞いていたのだが・・・。

あ、俺は昔映画のシナリオライターになろうとしてなれなかった男だ。
そんな俺に向かって、その大学助教授が・・・かつて映画のシナリオを書いていたと言うのだよ。

それ聞いて思ったね。
あぁ、この人は、俺の嫉妬を誘っている。
最近Bさんに向きがちな俺を、何とかして自分のほうを向かせようとしている。

気味悪くなった俺は、もうこの関係をやめようと思った。

ま、ちょっと仕事が忙しくなってきたと言うのもあるけれど・・・悪いとは思ったが、これが最善の策だろう、なんて。

それから一週間が過ぎ、携帯にメールが入った。

「なんかこの頃いらいらしてね。今日は○○(息子の名)を強く叱りすぎちゃって・・・この大雨の中、出て行っちゃったよ。あ~、面白くないなぁ!」

・・・当然、俺は返信しなかった。

それから三日後の夜十時頃。
やっぱり携帯にメールが入った。

「今日から主人がオーストラリアに出張なの。寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しいお願い!電話して!!ちょっとだけでいいから声を聞かせて!!何時でも待ってる!!」

・・・ていうかさぁ、顔は愚か、会ってさえいないし・・・声も聞かせたことないのに!!
どうしてこんなに熱烈なメール送れるのかねぇ!!

ま、この人は働いていない、いわゆる専業主婦だから・・・暇なのかな。

・・・当然、電話なんかしなかったけど・・・。
この翌日、またまた恐いメールが来たんだけど・・・それはまたの機会に。

ていうか恐いよ・・・どうしてそんなに見ず知らずの人を信用できるの?
俺がAさんを利用しようなんて考えていない・・・そう思えるの?

あぁ、相手がそういう奴なら、彼女も痛い目見ていたな。
そう思うのです。

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