手帳を見て凍り付いてしまった

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

今から10年近く前、俺がまだ大学に通ってたときの話。

そこに超がつく位の美人がいた。
その人を花に例えると周りの女はみんな雑草。
清楚可憐という文字を人にしたらこんな感じになるんだろうなぁ・・・っていう位の美人だった

その外見からか、無口なためか、異性同性どちらの友人もいないみたいで、学内にある藤棚の下のベンチによく座っているのを見かけた。

で、ある日俺はちょっと変なことに気が付いた。

その子がベンチに座っているときは手帳を食い入るように見ているか、手帳にに何かをせっせと書き込んでいたんだ。

一度気になると何が書かれているか気になってしまい、ある日それが我慢できなくなり、彼女の後ろから近づいて「よう、何やってんの?」って、声をかけるフリをして手帳をチラ見したんだ。

残念ながら何が書かれているかは分からなかったけど、その手帳には細かい文字で、びっしり何かが書かれているのは見えた。
その子は驚いた表情で、何も言わず、カバンを持って一目散に逃げ出してしまった。

それからしばらくの間その子を見かけなくなり、手帳の事もすっかり気にしなくなったある日、たまたま藤棚の前を通りかかったら、見覚えのあるかばんが置かれていた。

あの子のカバンだった。

そのカバンを見た途端、手帳のことがフラッシュバックされて、悪い事だとは分かっていたが、ついそのカバンに手をかけてしまった。

手帳はすぐに見つかった。
そして、ページを適当に開いて見たんだ。
すると・・・そこには1日スケジュールが書かれていた。

何月何日は何時に起床。
朝は何と何を食べたとか書かれていたんだけどよく見てみると、尋常じゃない細かさで書き込まれていて、起床時刻は分単位・・・。

食べ物は例えばスクランブルエッグなら「スクランブルエッグ○カロリー玉子(○グラム)1個、食塩○グラム」みたいな感じで、食べた物だけでなく飲んで水の量まで書き込まれていて、これも分単位の入浴時間に使ったボディソープやシャンプーとその量も・・・。
トイレに入った時間と回数なんて物まで書かれていた。

俺は背筋が寒くなって、その手帳をカバンに直してそこから逃げ出した。
あの子と顔を合わせるのも何か怖くて、病気という事で1週間ほど大学も休んだ。

再び通うようになってもその藤棚の近くには近づかないようにしていたんだけど、数ヶ月もしたころ、友人からその子が家の都合という事で自主退学したっていう話を聞いた。

それからその子とは一度も会ってないけど、どうしているかは気になるよ。

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