実際に人を切ってた刀

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

小さい頃、普段は使っていない部屋の物置の奥から古びた日本刀を見つけました。
祖母に聞くと「浅草で買ったおもちゃだよ」と。
ただどんなに引っ張っても鞘から抜けない・・・。
どうしても鞘から抜いてその「おもちゃ」で侍気分を味わいたかった僕は近所の良く遊びに行っていた建築事務所にその模造刀を持って行き、仲の良かったおじさん達に開けてくれるよう頼みました。

けど大人二人でいくら引っ張っても抜けない!
おじさん達が不思議に思いよく調べると、鞘と鍔の間が溶接(?)してあるから鞘から抜けないと分かりました。

そこでおじさん達、ミニ電動カッターのような工具を持ってきて器用に溶接部分を切断!
幼い僕は大喜びでその模造刀を手に取り、やっと鞘から抜けたその刀身を見つめました。

全体的に赤黒く錆びていて、所々にカビが・・・。
時代劇で見るようなピカピカに光った刀を想像していただけに、その期待外れさに少しガッカリしたけど、おじさん達にお礼を言い家に向かいました。

家に帰り祖父にもらっていいかを聞くと「じゃあ紙ヤスリで錆を落としなさい」とOKの返事!

ここまで書いてなんなんですけど、別に怖い話じゃないかもです・・・。

とりあえずその日は錆を落とさず二つ年上の兄と、その重く長い「おもちゃ」で遊んでいました。

夜寝る前になり母が「物置にしまっておくからね」と。
その次の日学校から帰り物置を開けると、どこにもあの模造刀が見当らない・・・。
大慌てで母に聞くと「押し入れに入れといたのにねぇ?」と、家族に聞いても誰も知らない。

せっかくのおもちゃを無くしてしまって、その日一日落ち込んでいた僕ですが、やはり子供なのですぐにそんな事は忘れてしまいました。

そして去年、ふと「床の間に何か飾りたいなぁ」と思い、あの模造刀を思い出した僕は、祖母にいいました。

僕:「小さい頃見つけたあの模造刀どうしたの?」
婆:「は?何言ってんだい?おかしな子だねぇ家に模造刀なんて置いてあった事ないよ!」

祖母が忘れているのかと思い、鞘から抜けなかった事等を一から説明すると「あ~!あれね!ありゃ本物だよ!あの時いい機会だからあんた達に隠してた。他の物や指なんかと一緒に全部まとめてお寺さんに供養に出して処分してもらったよ!」と。

俺はそんなもん持って遊んでたのかと小一時間へこんだ・・・。

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