20年ほど前にあった話。
昔、自分が住んでいた地区での出来事。
その地区では小学校近辺を中心にボランティアが子供の下校時刻にパトロールをしていた。
ボランティアの人は黄色いタスキをかけ、一人小学校近くの交差点で旗を持ち、もう一人はステッカーを貼った軽自動車で周辺を巡回していたので街の人も服装でボランティアの人だと分かるようになっていた。
夏休みも終わってすぐのこと、小学生三人が下校中に変質者に襲われた。
特に危害を加えてくるわけではなかったが、奇声をあげにじり寄ってきたそうだ。
三人は逃げようとすると、すぐ近くに巡回ステッカーを貼った軽自動車が徐行していたらしい。
慌てて車を叩き「変な人がいる!!!」と騒ぎたてる小学生。
運転席からオバサンが顔を出し「乗れ」と言ってきた。
一人が乗り込み、残り二人も乗り込もうとすると軽は扉を開けたまま急発進したそうだ。
車を追いかけるも引き離され、いつの間にか変質者も見当たらないため二人は小学生へと引き返しそこで先生にあった事を伝えた。
最初は変質者の事ばかり気にしてた先生だが、その日の車巡回が男の大学生であることがわかり、誘拐事件として警察に連絡したそうだ。
結局、さらわれた男の子はその日の深夜に市内の路上で発見され、病院に搬送されて命に別状がないのが確認された。
奇妙なことに男の子の右腕には深い歯形が残されていたらしい。
記憶を頼りに書いたので細かいことはあまり覚えていないが、事件が起こった時は学校中で話題になった。
歯形のついた子は二学年下なので直接の面識はなかったが、この事件の影響でしばらく集団下校になってしまって、とても窮屈だったのを覚えている。
オバサンの正体は結局不明のままらしいし、車巡回の大学生との関係性も不明。