手ぶらで水道点検をしにくる者

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

小学校低学年で学校を仮病でずる休みしたときのこと。

母親は昼間パートに出ていたので家には俺一人。
ゲームをしながらずる休みを満喫していると、玄関のドアがコンコンとノックされて「こんにちは~」と男の声がした。

本来なら家には誰も居ない時間だし、もし何か用事があったとしても子供には関係ないだろ、とシカトして部屋に篭りゲームを続けていると、「ガチャ」っとドアが開く音がしてどうも人が入って来たようだった。

え??マジかよ!

咄嗟に自分の部屋から出て玄関に行くと、そこには作業服を来た男がいた。

俺:「何でしょうか・・・?」
男:「あ、あの、水道の点検に来たんですが!」

明らかに男はテンパってたw

男:「僕、今日学校は?」
俺:「えっと、熱を出して休んでるんです。」

男:「何度ぐらい?」
俺:「38度2分です。」

男:「あーそっか、ならちゃんと寝とかなきゃだめだね。えーと、ナショナルのやつね、オーケーオーケー」

男はキッチンにある水道の浄水器を見ながらそう言うと「じゃ、お大事に~」とか言いながらすぐに帰っていった。

やたらと優しかったけど、手ぶらだったし、幼いながらそいつが怪しいのは一目瞭然。

当時は胡散臭せー奴!ぐらいにしか思わなかったけど、今思うと結構危ない体験だったし、会話がお互い嘘だけで終わるってのもある意味貴重な体験かもしれん。

因みに浄水器はパナソニックだった。

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