うちは一階建てのかなり年季の入ってる家なんだけど、庭とかには祖父の趣味の錦鯉なんか飼ってる。
ちょっとした旅館みたいな感じなんだ。
倉もあるんで小さい頃は友達や姉とかくれんぼして遊んだよ。
多分、刀も沢山あるし鎧とかお宝鑑定の番組に出したいくらい。
今はまったく俺は近寄らない。
なぜかというと・・俺が小学五年の時の話になる。
その当時俺は倉の中に懐中電灯や毛布等を隠しており、映画の「ネバーエンディングストーリー」の真似をして漫画を読んで菓子を食っていた。
その日は雨が降ってて、ネバーエンディングストーリになりきっていた。
青リンゴはなかったから、梨を食っていた。
けっこう異様な雰囲気だったと思う。
倉の中に市松人形があるんだが、どーにもその日やたら、気になって後向きにしておいた。
漫画に熱中していたんだけど、そろそろ昼飯かなって思って立ち上がった途端、ギョッとした!
市松人形がこっち向いてるんだよ。
怖がりだった俺は走って逃げた。
ドキドキしながら時間はたった。
ご飯を食べ、しばらく自分の部屋にいたが読みかけの漫画が気になる。
俺は勇気を出して倉まで漫画を取りに行くことにした。
倉を開けた。
雨が降ってるから、かなり暗い。
さっさっと漫画をとって倉の扉を閉めるとき気になってチラッと人形を見たんだよ。
なんか不気味なんだけどさ、ただの人形だった。
俺は、しばらく倉の中で漫画を読む事はやめた。
そんなある日、クラスの友達が俺の家に泊まりにきたんだよ。
昼は野球して、夕方頃はみんなでスーファミやってた。
爺ちゃんが居間にやってきて、「市松人形を勝手に倉からもってきたら駄目だろ」と言ってきた。
俺:「はぁ?俺じゃねーよ」
爺:「とにかく、これは倉に入れてくるから出すんじゃないぞ」と俺と決め付けて居間から出ていった。
友達Aが、どうやら倉に興味をもったらしく俺に倉に連れてってくれと言い出した。
俺はなんか嫌な予感するから断ろうとしたけど、結局俺とAとBで行った。
AとBは初めて見る倉が珍しいらしく喜んでいた。
B:「さっき、おまえの爺ちゃんが言ってた人形ってこれ?」
俺:「あっあぁ」
B:「なんか、こえーね。」
俺:「あんま触らないほうがいいよ」っと、適当に答え、倉をそうそうに出ていった。
夜、皆で寝ているとBがうなされていて、あんまり苦しそうだったから起こしてあげた
Bは、めちゃめちゃ青ざめた顔で起きた。
俺が「どうした?」って聞いても答えない。
しばらく沈黙の時に、今度はAもうなされていて(都合がいいけど)揺り起こしてた。
Aなんか唇がカタカタ動いていた。
BがAに「・・おまえも、みた?」
A:「・・お婆さんか?」
B:「・・寝てたらさ、居間の端っこから、お婆さんがジッとこっち見てんだよ。」
俺は何も見ていない・・・。
その後、二人に聞いたんだが、その婆さんが包丁を持っていて足をひきずり、ながら「しかたがないんじゃ~しかたがないんじゃ~」と近づいてきてたらしい。
二人とも怖がって眠ろうとしなかったので、爺ちゃんを起こして、話を聞かせた。
爺ちゃんは、ウンウンっとうなずいて、部屋に塩を盛り、二人をなだめ皆、眠りにつくことができた。
後日、爺ちゃんに話を聞いた。
友達には話さないがね。
あの市松人形は、ご先祖様が知人の人から預かったものらしいが・・・誰も取りに来ないらしい。
爺ちゃんに聞いたが、あの市松人形は、ある婆さんが大事にしていた物で、その婆さんの息子が、盗みをして処刑になった。
その婆さんは、頭がおかしくなって寝たきりの爺さんを包丁で刺し殺したらしい。
当時、盗みは大変罪が重く婆さんは石を家に投げられたり、とにかくひどかったらしい。