某国の工作員

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

昭和47年頃、太平洋に面した漁村での出来事です。
季節は夏でした。
小学生の私は、友達(男)と一緒に砂浜を歩いて、漂着したいろいろなものを探すのが好きでした。

その日も、二人して午後の砂浜を歩いていたのですが、二人で遠くに変なものを見つけました。
それは、足跡でした。
砂浜を足跡がずっと続いています・・・。

ほとんどは、波や風によって消されていましたが、それは、比較的まっすぐに続いていました。
徐々に海から上がってきたように思われました。

ちょっとおかしいな?と思ったのは、足跡の大きさが長さが40センチ近くあったということです。
自分たちのものと比べて大きいので、驚きました。

一歩の間隔も大きい。
足跡の深さも私達の手が入ってしまうくらい深い。

その足跡を追っていくと、また海に入って消えていました。

次の日も二人でいってみると、その足跡は、まだあります。
まだ、というより、また、誰かが歩いて新しく残していった、と思われました。
その次の日も、新しい足跡がありました。

これは、誰が歩いているのか確かめようということになり、四日目に、午前中から海岸の漁小屋に隠れて見張ってみることにしました。

あいにくその日は、風が強く、海が時化(しけ)ていました。
波が高いというので、朝、友達に電話して、今日は止めようと決めました。

その日の夕方、友達の家から電話がかかってきて、友達がこちらに来ていないか?と尋ねられました。
友達は、朝から出かけて行って夕方になっても自宅に戻ってこないということでした。

その日の夕方から、消防団や地域の人が夜を徹してさがしましたが、彼は見つかりませんでした。

私は、次の日の朝に、例の砂浜にいきましたが、足跡が残っていました。
以前と比べるとよりくっきりと。
海から出てきて海にもどる。
その行動がはっきりと残っている足跡でした。

私は、その正体を見定めようとはしませんでしたし、友達は、それ以降、行方不明で現在に至ります
浜に行って大波にのまれたのではないか?ということでした。

その後、その浜に行って遊ぶのは大人からあまり良い顔をされませんでしたので、一週間おきくらいに行きましたが、足跡は付けられていました。
同じ所から同じ所まで。

夏休みが終わって2週間目くらいの日曜日にいってみると、足跡はありませんでした。
その後、足跡があの浜に残されていることはありませんでした。
ともだちの失踪とその足跡との関係は不明ですが、今でも記憶に残っている出来事です。

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