爪を剥がして入れる

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

先日、祖母の10回忌をやった時の話。

生前の祖母の家は玄関横に郵便ポストがあり、それは下駄箱の上に物が置かれる形になるものだった。
つまり、郵便物が入ってきても受ける箱はなく下駄箱に積み重なるって状態。
一時期いたずらが多く、枯れた草や虫の死骸、火のついていない花火などがポストに入れられた事があった。
花火は火がついていたらシャレにならないので警察に一応通報した。

しばらくはおまわりさんが巡回してくれたりしていたのだが、その月もその翌月もガス・電気の請求書が来なかった。

不思議に思った祖母が問い合わせると、すでに支払い済みだと言われる・・・。

もしかして郵便受けから抜かれてる?
でもこっちに不利益ではないし、でも持って行かれた上に支払われなかったら困るなと、グルグルと悩んだそう。
さらにしばらくたった頃、今度はどこかの家の鍵が入ってた。

祖母はのんびりした人だったので、「道に落ちていた鍵をうちの物と間違えて入れてくれた人がいたのだろう」と「落し物です」と巡回中のおまわりさんに渡したそうだ。

数日後、今度は手書きの地図と剥がしたのであろう爪が入っていた・・・。
さすがにおかしいと思い近所の交番に持ち込み見てもらうと、差出人は散歩で良く行く公園で会うおじいさんだった。

”あの”おじいさんに家の場所も教えてないのにそんなはずは・・・と、おまわりさんと一緒にいつも行く公園へ行ってみた。

おまわりさんを見た時のおじいさんの言動が少しおかしいと思われたのか、おまわりさんが詰め寄ると、祖母の家に入れられていた草、虫などは近所の小学生の仕業で、それを見かけたおじいさんはその子を殴って取調べを受けていたという事が分かった。

どうも少し痴呆が入ってるという事で、他のご家族の方立会いのもと示談になっていたらしいが、話を聞くと「祖母を守るんだ!」と息巻いていたそう。

結局、警察に連れて行かれ事情聴取、花火の件の関与も追及されたらしい。

すると祖母に惚れてしまい守るんだ!と勝手に思ってたらしく、「俺が養ってる」と請求書を持って行って払っていたのも発覚した。

鍵もおじさんの自宅への招待状だったらしく、数日経っても来ないから地図も入れたと・・・。
爪は自分である証、どれだけ本気かを分かってもらうためだったらしいが、痴呆が・・・という理由でご家族の方から今月中に施設に入れるから示談にしてくれと言われ応じた。

完全にストーカーだし下手したら祖母は殺されてる可能性もあったはず。
爪を剥がして入れるような人が近所にいたという事にゾッとした。

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