片付けられない理由

カテゴリー「怨念・呪い」

東京に住んで7年の30歳。
最初に住んだところが会社から遠くて、もっと便利な2つめのマンション?に引っ越した。
日当たりの悪い狭い1kだったんだけど、そこでちょっとうつ状態みたいになったんだよね。
会社にはなんとか行くけど眠れない、食欲ない。

平均3時間睡眠くらいが転居してから1年くらい続き、顔色も酷くなって上司にたまに指摘されるくらいになった。

社会人だが仕事以外はヒキコモリ状態で、部屋の掃除もろくにしない方だ。
が、そのときは異常だった。
会社から帰ったらゴミを出しにいくのもめんどくさくて、隅にゴミ袋山積み。
コップ、食器も極力洗わない。
面倒でしかたがない。

ある時、地元の親が何かの折にオレの顔を見に寄って、オレの惨状を見て悲鳴をあげた。
うちの母はわりと家相とかオカルトチックなことを気にしたり趣味にしてるようなものなので、その場で携帯で自称霊能者みたいな、だけどわりと評判のいいらしいオバチャン(電器屋経営)に電話で話しはじめた。

携帯で何がわかるんだ、と思いながら「またはじまったよ。あ─あ」と思って黙っていたら、母が電話に出ろという。

そのオバチャンとは面識もなく話すことなど何もないけれど、でろというからでて話した。
こんにちは、とか、はじめましてみたいな話のあと、「あなたが息子さんね」みたいに始っていくつか聞かれた。
仕事に慣れた?とか彼女は?とかゴミは出してる?とか・・よく分らない、まとまりのないことを。
で、彼女は暫くいない、とか母の前でも言いたくないが、ええ、まあまあ、とか返事をしていた。

で、部屋の掃除をあまりしてないことを言われて「もともと不精なもので・・」と返していたら、机の上のコップはいくつ?と聞いてくる。

飲みかけと出しっぱなし、母にだしたペットボトルのお茶とか答えていたら、洗面所に歯ブラシは何本とか聞いてきて古い、捨てる寸前の、というか出しっぱなしにしていた歯ブラシと、新しい歯ブラシの2本。
その他シンクに洗わずに置いてある食器の数とか聞かれて答えていたら殆どが2対だった。

そんなこんなで母親にまた携帯を返し、母も何か話していたが、すぐにまた代われといわれてオバチャンと話した。

オバチャンは今の状態はうつ状態みたいだけど心配はない、その部屋を出ればよくなるわよ、と言う様なことを言って、とにかくマメに掃除をして、それだけは必ずしなさい。
空気の入れ替えをよくしなさい、とだけアドバイスのようなことを言ってくれた。

その時の状態は酷かったので、まあワラにもすがるというほどではないけれど、心配顔の母が帰った翌日から、なんとか言われたとおり、掃除とゴミ出しを少しは心がけるようにし、部屋の換気も気をつけた。
2ヶ月間ぐらいはやっぱり不眠、食欲不振に悩まされた。
しかし、掃除や換気のせいか少しは楽になった感じもあったため、面倒だったが引越ししてみようと思った。

新しい部屋は日当たりも悪くなく、同じように手狭ではあったが居心地というか、空気感は前の部屋より全然良く感じた。
その部屋が普通で、前の部屋は出てみるとすごく重苦しくて息がつまってたような気もした。

そして引越しの大仕事がやっと片付いた2、3日後、なぜか夜は寝つきがよくなり、食欲も戻ってきた。
顔色も戻ったらしく、会社でも「最近は元気そうだな。一時は結構ひどい顔してたぞ。本当に具合悪かったのか」などというようなことを2、3人に言われるくらい良くなったようだった。
勿論、自分でもかなり快調になり、前の部屋にいた2年弱が随分酷かったことを実感した。

ここまで読んでいただけたらすでに予想通りと思われるが、引っ越してかなり順調になった後日、母づてにオバチャンの話を聞いたところ、オバチャン曰く、部屋にはかつてそこで亡くなった(自殺した?)女性がそのまま居ついており、オレはその女性に気に入られたんだそうだ。
なので、コップや食器や歯ブラシが対で出しっぱなしにしていたのは、その女の人の分なんだと。

勿論俄かに信じがたく、今だにちょっと眉に唾だと思うが、言われた時はぞっとした。
オバチャンは、その女性は部屋からは出れないので、部屋を替わればいい、と分ったんだそうだ。

母づての話なので、細部が定かではないが、部屋が汚くなるのは一般的に、霊に取り憑かれた人にはよくあることで、気力も体力も萎え、端から見るといい加減でだらしのない人間に見えてしまうという。
部屋も散らかり放題になる。

ところが、オレの場合、その女性がオレの伴侶のつもりで掃除も洗い物も、ゴミ出しも自分の役目だと思っていたそうだ。
それが携帯で話した内容でオバチャンは全て理解したという。
勿論、女の霊に家事ができるわけもなく、食器もゴミもたまりにたまったところでオレが何とか片付けていたわけだが・・・。

それで、オレには疲れていても家事をしっかりやるように言い、その女性の仕事というか役割を無視することで霊の執着を切る作戦だったらしい。

あとから指摘されれば、思い出す何もかもが腑に落ちる感じで気持ち悪かったが、オバチャンの理屈はいちいち千里眼というよりは何か普通に理に適っていて、しかも解決方法も当たり前といっちゃ当たり前のことだったので、「はあ~そんなモノかな~案外そんなものなのかも」と思った。

オレは本来オカルト関係は興味はあるが、幽霊とか信じないタイプなので醒めた感想を言いたくなるが、そのときは結構ゾ─ッとさせられました。

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