その土産には悪意が感じられる

カテゴリー「怨念・呪い」

12月の半ば頃、某国から戻ってきた知り合いが土産くれたんだけど、それがヤバい系のものだった。

仕事で知り合った現地人から貰ったらしいが、多分処分に困って押し付けられたっぽい。
それが回りまわって俺のところにきてから、マンション5階ベランダなしの窓に人影が一晩中映ってたり、仕事から帰ったら玄関に泥だらけのはだしの足跡がついてたり、なんてことが続いたわけだ。

でも仕事忙しかったし、めんどくせえwwとか思って放置してたらえらいことになった。

年末には弟が泊まりに来たんだが、二人して酒飲んで酔っ払ったにもかかわらず、一晩中何かが耳元で囁いたりして、全然眠れないこともあった。
ちなみにこの時、俺も弟も大絶賛金縛り中、声を出すこともできなかった。

朝になってからマジギレした弟に「兄貴人が寝るの邪魔してんじゃねえよ!」って怒鳴られて、弟にも声が聞こえてたことが判明した。

しょうがないので弟に怪しい土産の話をして、一週間ほどずっとこういう状態だ、と説明した。

弟からは「兄貴昔っからこういうのに対して鈍感すぎ!」と怒られた。
んで弟が「今日本にいるかどうかわかんねーけど」とかぶつぶつ言いながら、どこかに連絡をとった。
俺はその間、日本酒買いに行かされた。

弟が連絡してから二日くらいして、弟の知り合いがうちに来た。
知り合いってのは前にここで書いたことあるので覚えてる人がいるかもしらんが、コトリバコの偽物を始末したハーフ男だ。

弟から連絡うけてやってきたハーフ男からは「あんたほんとにトラブルホイホイですね!」って言われた。

んで俺ら兄弟はその怪しい土産とともに、ハーフ男の父方の祖父が持ってる家のひとつに連れていかれた。

ハーフ男の父親の家は神社なんだけど、このクソ忙しい時に迷惑かけられない。
だから自分がどうにかする、ただし自分は神主としてきちんと修行積んだわけではないので何があっても文句言うなと脅された。

不思議なことにハーフ男に連れてこられた家に来てからは、耳元で囁く声もせず、俺も弟もぐっすり眠れてた。
ただし「この部屋で寝泊まりしてくれ」と言われた部屋から出ることはできず、基本トイレと風呂だけ行き来できる、という状態が三日ほど続いていた。

んで12月31日の真夜中・・・。
3時過ぎたあたりか、寝てた俺と弟はハーフ男に叩き起こされた。
「今から山登りしてもらいますんで」って言われて、わけがわからなかった。

山登りといっても本格的なものじゃなく、俺ら兄弟が泊まってる家の裏手にある山に登れ、という簡単なものだった。

そんなに高い山じゃなく、多分200~300メートルもない感じ。
ただし山に登ってる間は一度も振り返るな、朝日が昇るまでに頂上につけ、あと東のほうに向かって息を吐くな、声も出すなと言われた。

俺と弟はとりあえずあったかい格好で外に出て、山道に足を踏み入れた。

登ってみてわかったが、夜の山ってのは正直おっかない。
しかも懐中電灯持ってるとはいえ、真っ暗だから方角わからんし、ひたすらまっすぐ上をめざすしかない。
時々立ち止まって、方位磁石で方角だけ確認しながら登るんだけど、途中から明らかに何かが俺らの後をついてきてるのに気がついた。

横目で弟がほぼ同じペースでついてきてるのだけ確認して、背後には意識を向けないようにするしかできなかった。

やばかったのは、途中で弟が一回転んだ時だった。
「うぐっと」と悲鳴を呑み込む気配がして、俺はもうちょっとで振り返りそうになった。
でも弟はすぐに立ちあがって、転ぶ前よりも早いペースで登り始めて、今度は俺が置いていかれそうになった。

弟が起き上った時「ビリビリッ」と大きく布が裂けるような音がして、それも正直怖かった。
頂上にはなんとか着いたものの、頂上に辿り着くまでの体感時間はものすごく長く感じた。

結局なんとか頂上で御来光を拝んで下山した。
下山中は何もなかったが、弟も俺も一言もしゃべらず、ただ弟が着てたダウンジャケットの背中はありえない感じでびりびりに裂けていた。

怪しい土産はハーフ男が預かり、俺ら兄弟はさらに三日ほど泊まらされた。

今朝自宅に戻ってきたところ・・・。
疲れた年越しだったわ・・・。

ちなみに怪しい土産というのは一見したところ民芸品。
でも実は現地の呪術師が使ってたものらしい。

ハーフ男が一定期間預かり、自分の傍に置くことによって処分できるくらいに「薄まる」そうだ。
俺にはそういう物を引き寄せてしまう縁があるらしいので、なるべくこういうものは受け取るなといわれた。

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