落武者の生首

カテゴリー「怨念・呪い」

八王寺城址
去年の5月だか6月、男2女2で車で遊びに出たんです。
夜22時くらいだったでしょうか。

最初はそんなつもりなかったんですが、何時の間にか、「八王寺城址に肝試しに行こう」という話になりました。
その時点で、胸の真ん中の骨がギューっと、痛みました。
年に2回位あるのですが、嫌な事の前触れであることが多いのです。
でも肝試しとか大好きな私はウキウキしてました。

途中のコンビニで懐中電灯を一つ購入。
もっと買いたかったけど、それしか残ってなかったのです。

公園の入り口着いて後悔しました。
あんまりにも暗いから・・・。
結構ジメジメしてたし・・・。

怖がる2人の男(しかも年上)を真ん中に挟み、もう一人の女の子が一番前、そして気丈なキャラの私が一番後ろについて内部に向かって歩き出しました。

私は霊感とまでは無くても、相性の悪い場所?くらいは感じたりします。
そういう意味で、ここはそんなに酷い所では無いと感じました。
しかし真っ暗な森の中を歩くというのは単純に、怖いです。

特に何事も起こらず、けれどもそれなりに肝試しとしてのスリルは充分満喫したかな、という頃に、ちょうど、行き止まりになりました。
というか、小さな橋がかかっていて、それを渡らないと先へ進めないのです。

ああいう場所であんな心細い橋を渡るというのは、あまり気持ち良いものではないです。
4人で初めて立ち止まり、輪になりました。

「どうする?」

「なんか慣れてきちゃった」

「もう良くない?」

「帰ろっか」

そんな話をしながら、もうひとりの女の子が、懐中電灯を点けたり消したりしていました。
私はなんだかそれが本気でイヤでしたが、彼女は「電池をもたせるため」などと訳のわからないことを口走りました。

まあ普段から謎な行動の多い子なので、彼女的には貧乏ゆすり程度のことなのだろうと理解し、私はそれほど気にしませんでした。
ところが言わんこっちゃない、懐中電灯の点きが悪くなってしまいました。
電源の入りが悪いのです。
こんな真っ暗な所を、明かりナシで歩くなんて冗談じゃないです。

「やべえ、早く帰ろ」私達は足早に、来た道を引き返しました。
ギリギリ、車に帰りついた頃にちょうど、懐中電灯は完全に壊れ、全く点かなくなってしまいました。

車の中で、皆で懐中電灯を弄くり回しました。
仮にも理系大学の機械系関係の男の子もいましたが、どうしても、点かない理由がわかりませんでした。

電球そのものにも異常はなく、電池がなくなったわけでもありません。(わざわざ別なコンビニで新しい懐中電灯を買って入れ替えてまで試したのです)
結局謎でしたが、あんなにカチカチいじればどっか壊れることもあるだろうということで。

その後は普通にドライブを楽しんで、私が自分の家に帰ったのはもう深夜の3時近くでした。
当時妹(元ヤマンバ)と一緒の部屋だったのですが、部屋に入るなり妹は飛び起き、怖い顔をして言いました。

「お姉ちゃん!?今まで、何処行ってたの!?」

何かすごい剣幕でしたが、これまた普段から奇行&寝言の多い妹なので、私はあまり気にせずに言いました。

「心霊スポット行って肝試ししてきたんだ~。楽しかったよ~。いいでしょ」

すると妹は激怒。

「そんな所に遊び半分で行くんじゃないよ!!さっきすっげー久々に怖い金縛りにあったんだよ!!お侍さんがすっげー怒った顔して、私をてんぷらにしようとして、白い粉をまぶしてくるんだよ!!まじ怖かったんだよ!!」

つっこみどころ多過ぎでしたが、『お侍さん』が出てきたことに私は興味がわきました。
まだ八王寺城址とは言ってないのに、一応リンクしたので・・・。

「ふーん。何時頃??」と、私は尋ねました。

妹は携帯の履歴を見ながら「○○くん(彼氏)と電話して、切ってすぐだから・・・ちょうど、12時くらいかな」と。

12時といえば、あの橋の横で輪になって話し合っていた頃です。
たまたまあの時、自分の腕時計を見たので覚えていました。

「ふーん、そう」などと適当に答えながらも、まだ目が冴えていた私は面白がって、、これら一連の出来事を長い長いメールにしたため、時間帯を気にせず、いろんな友達に送りまくって、やっと眠りにつきました。

翌朝、来ていた返事の中に一通だけ不吉なものがありました。
女友達からでした。
それはこんな内容でした。

深夜、私のメールが来た時点でまだ起きていたので、何か返事を書こうとして自室のベッドに座ったところ、何かイヤな感じがした。
そしてふと気配を感じ窓を見ると、落武者としか思えない姿の生首がのぞいていた・・・。

咄嗟に何が何だかわからず混乱してたら物凄く寒気がして眠気に襲われ、ブルっと身震いを一つして、枕元に携帯を置いた・・・そこまでは記憶にあるのだが、そのまま眠ってしまったらしいです。

こりゃーますます面白いことになったぞと、私は更にいろんな人にこの話をしましたが、もう何も起こりませんでした。

私の身にも特に何も起こりませんでしたが、あの時の壊れた懐中電灯が、自分のカバンから出てきたのは、少しイヤな気分になりました。
持ってきた覚えはないんだが、誰かが悪戯でもしたんでしょうか?

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