飛んできた頭

カテゴリー「怨念・呪い」

俺が高校の時の話。
毎年夏休みに入ると、甲子園の予選に全校生徒が応援に行くのが恒例行事だった。
学校に集合してバスで球場に向かうことになっていたので、普段と同じ電車に乗って学校に向かっていた。
田舎なので線路は田んぼの中を突っ切っている。
順調に走っていたが、突然「ドン」という音がして、電車が急ブレーキをかけ停車した。

車掌が慌ただしく電車から降り、外の様子を見に行った。
事故など滅多に起こらない路線なので、車内は騒然とした雰囲気になった。
俺は友達とボックス席に座って、何が起こったのかと友達と騒いでいた。
すると窓際に座っている友達の様子がおかしいことに気がついた。
真っ青な顔をして俯いている。

「どうした?」

「目が合った」

「は?」

「目、閉じてた」

詳しく聞くと、胴体からちぎれた子供の頭が窓のすぐそばに飛んできたという。
先程の「ドン」という音は、子供を撥ねた音だったらしい。

その事故があった場所は、近所に住む人しか通らないような狭い道路で、遮断機も無い小さな踏切だった。
その踏切には嫌な噂があった。

数年前に知的障害者がその踏切で電車に轢かれ、その男の霊が踏切に留まっているらしい、という噂だ。
その噂を証明するように、俺が遭遇した事故の後も、地元の高校生が電車に轢かれて死んだり、同じ踏切で死亡事故が何件が続いた。

そのいずれの事故にも共通する点があった。
事故の被害者は必ず友人と一緒にいて、踏切の上で突然立ち止まってしまう。

友人が「電車が来るから危ないよ」と声を掛けても踏切から動こうとせず、そのまま轢かれてしまうというのだ。
まだその踏切には遮断機は設置されていない。

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