日本の歌人、劇作家として有名だった寺山修司が亡くなった原因は「トミノの地獄」というある詩を朗読してしまったからだという都市伝説がある。
「トミノの地獄」とは童謡や歌謡曲の作詞でも有名な西條八十が『砂金』という詩集の中で書いたひとつの詩である。
「姉は血を吐く、妹(いもと)は火吐く、可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。ひとり地獄に落ちゆくトミノ、地獄くらやみ花も無き。鞭(むち)で叩くはトミノの姉か、鞭の朱総(しゅぶさ)が気にかかる。叩けや叩きやれ叩かずとても、無間(むげん)地獄はひとつみち。」
「トミノの地獄」(「砂金」西條八十著・日本図書センター刊より一部抜粋)
トミノという子どもが地獄を旅する様を描いた詩なのだが、その表現が「鞭で叩く」、「叩く」などありおどろおどろしい。
比較文学者で評論家の四方田犬彦氏は、著書「心は転がる石のように」の中で、「心の中で読むのなら平気だが声に出して読むと凶事が起こる」と書いている。
寺山修司は死の直前にこの詩を朗読してしまったのだという。
そして47歳の若さでこの世を去っている。
なぜ、「トミノの地獄」を朗読してしまうと死期が早まるのかは謎であるが、あるラジオ番組では「トミノの地獄」を朗読したところパーソナリティが謎の高熱で数日苦しんだり、リスナーから体調不良を訴える問い合わせが相次いだといううわさも存在している。
「触らぬ神に祟りなし」トミノの地獄は口に出さないに越したことはない。