神戸の六甲山のどこかにあるという「メリーさんの館」は稲川淳二さんの怪談で一気に有名になった。
今回は「メリーさんの館」に実際足を踏み入れてしまった人の話。
六甲山をドライブしていた若者2人。
一人がSさん、もう一人をAさんとしておこう。
彼らはドライブをしながら「メリーさんの館」の話をしていた。
都市伝説自体は結構古くから存在していたという。
メリーさんの館があるとされている場所の近くに来ていることは確かなのだが、肝心の館が一向に姿を現さない。
昼間に六甲山についたのに、もうすぐ夕方になってしまうという時刻。
まだ日は高かったが2人は諦めかけていたが・・・その時、Aが叫んだ。
A:「・・・ああ!あれちゃうか?」
Aの指差す方向をみると高い木の隙間から西洋館の屋根のようなものが見え隠れしているのがわかった。
車で近づくと、そこにはボロボロの西洋館があり、1階に入ると床は朽ち果て、外から入ってきた枯れ葉で埋め尽くされている。
看板が落ちていて横文字で何か書いてある。
A:「読めるか?」
S:「読めないけど、横文字だからここがメリーさんの館やな」
2人は確信した。
Sが奥まで探検していようと言ったが、Aは怖がって車の中で待ってると言い出した。
しょうがなくSは一人で西洋館の中を周ることに・・・。
階段を登って上の階へ行く時にイヤな寒気を感じた。
そして二階に登って一番右側にあったドアを開けようとした時、ドアの隙間から見える部屋の中は異様に白い光で満たされていた。
驚いたSは咄嗟にドアを閉めてしまった。
この部屋はヤバイ・・・。
直感的にそう思って階段を降りようとした。
しかし、階段を一歩下った時に、『ここで帰ったら何のネタにもならないし、あの白い光はなんだったのかな』と思ってしまった。
『引き返したら帰ってこれなくなるぞ・・・・でも行きたい』
そんな自問自答を繰り返したが、少しだけ好奇心が勝った。
Sは二階の部屋に戻りドアを勢い良く開けた。
そこには外よりも明るい真っ白な光に照らされた部屋があり、中にはたくさんの白人の子供たちの姿があり、彼らは全員白目だったという。
それを見てしまったところでSの意識は飛んでしまったらしい。
気がついたらSは病院のベッドの上にいてAが横にいた。
A:「おお、大丈夫か?お前戻ってこんから心配して見に行ったら、中庭の真ん中で倒れていたぞ」
Sが見た白い部屋はなんだったのか・・・。
その話をAにしても「自分は見なかった」というだけだったらしい・・・。
今でも六甲山のどこかにメリーさんの館はあるのだろうか。