波間に見える”漂流者”

カテゴリー「都市伝説」

今オヤジと離れて暮らしてるから、とりあえず覚えてるやつを書くね。
今度会った時にまた聞いておく。

よくあるパターンなんだけど、波間に頭だけ出ていて「おーいおーい」っていう霊は結構頻繁に見たらしいよ。
太平洋のどまん中でさ。オヤジが当直に立った時とかも、何度か見たって言っていたよ。
いきなり「おーいおーい」だもの。

最初は慌てて「漂流者だ!」ってみんなを呼んだりしたらしいけれど。
古参の人は航路のどこでそれが出現するか知ってるらしく、「ああ、またか・・」って言うんだって。

当時の船は、レーダーとかも無かったのかな?
いやあったのかもしれないが、精度がイマイチだったのかもしれない。

そのせいか、船首と船尾に立って、毎日交代で航路を見る「ワッチ」という当直があったらしい。
そういう時に出るんだって。

太平洋の激戦地の近くとかでよく見たって言ってた。
きっと戦時中の船が多く沈んでるのかな。

その「おーいおーい」を見た後は、船のみんなでオニギリや酒、タバコなんかを海に投げ入れてやるんだって。

怖いって言うよりも、同じ船乗りとしてすごく悲しいんだって。

だから「日本に一緒に帰ろう。この船に乗れよ」って心の中で必ずみんな言ってたそうだ。

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