昨年の夏、野郎3人で”出る”と言われている山奥の廃墟に行きました。
現場に着いたのは、午前24時過ぎだったと思います。
当時、雨が降ってたのでジト~っとしたイヤな雰囲気だったのですが、廃墟自体はそんなに大きくなく、奇妙な体験もなく、何となく尻切れトンボな状態で探索は終わりました。
ただ気になったのは、俺の右隣にいた友達が、探索中にずっとガムを「クチャクチャクチャクチャ」噛んでて、それが不快だった事です。
鼻息も荒かったように感じられました。
いざ帰ろうとした時、俺はその友達に「お前さぁ、普段から食事するときもマナー悪いよな。さっきもガムをさぁ、クチャクチャうるせーんだよな」と苦笑混じりに注意したのですが、友達はビックリした顔つきでこう言いました。
「・・・ガムなんて噛んでないけど」
その時、後方の廃墟から、あの食べ物を咀嚼する様な音が聞こえてきたのです。
「クチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャ」
俺らは速攻車に戻り、逃げ帰りました。
その廃墟は、あくまでも噂なのですが、狂った父親が一家全員を惨殺し、その死肉を燻製(くんせい)にして1年ほど暮らしていた家だそうです。