ロンギヌスの槍。
キリストを貫いた槍でもあり、これを手中にした者は過去の歴史上覇権を確立してきた。
そして時は流れて20世紀、この「ロンギヌスの槍」の魔力に魅せられたもう一人の男がいる。
第三帝国を率いたアドルフ・ヒトラーである。
1938年にナチスがオーストリアを併合した際、ヒトラーはハプスブルク家の財宝を奪い去ったと言われているが、一説によれば、ヒトラーはまず何よりも「ロンギヌスの槍」にこだわり、第三帝国の名の下においてそれを奪還、同年10月13日にはヒトラーの命令で武装したSS専用の列車に槍を積み込み、ニュルンベルクに輸送したという。
その後ヒトラーは快進撃を続け欧州を席巻するが、ロシアへの進軍で致命的な敗北を喫する。
そして1945年4月30日午後2時10分、米軍のウォルター・ウィリアム・ホーン中尉が「ロンギヌスの槍」を保管していたニューンベルクの教会に踏み込み、槍を再び奪還、ヒトラーは「ロンギヌスの槍」を失うことになる。
ヒトラーがベルリンの地下壕で拳銃自殺したのは、それからわずか80分後のことである。
現在、世界には数本の「ロンギヌスの槍」が存在するが、そのうちのいずれかが本物のであるのか、全てが中世の捏造物であるのか、あるいは南極大陸の奥底に今も眠るのか。
真実は闇の中である。