”あれ”は舐めるだけだから安心しろ

カテゴリー「都市伝説」

登山仲間の話。

高校生の時分、部活で山寺に合宿した。

その日は彼女の班が夕食当番で、同級生三人が並んで食器や鍋を洗っていた。

すると、いきなり、一番右端の者が「うひゃっ」と奇声を上げる。
続いて真中の娘も「ひっ」と首を竦めて皿を落とす。

どうしたの?と尋ねようとした途端、ペタリと、生暖かい濡れた物が首筋に貼り付いた。

似たような悲鳴を上げて背後を振り向くと、そこに紫色の口があった。

何もない空間に、だらしなく半開きの口だけが浮いていたのだ。

唇を割って、青黒い舌が揺れながら垂れている。
三人揃って、皆の元へ逃げ戻ったという。

居合わせた者を引き連れて洗い場へ返したが、既にそこには何も見えなかった。

顧問の先生が言うには、この山には昔から青舌と呼ばれる何かがいるのだと。

先生:「以前にも先輩や卒業生が、何人か出会っているよ。ベロリと舐めるだけで他に害はないみたいだから、心配するな」

彼女:「舐められるってこと自体が、もう堪らなく嫌なんじゃないの。先生その辺わかってないよねぇ」

そう彼女たちは愚痴をこぼしていた。

ブログランキング参加中!

鵺速では、以下のブログランキングに参加しています。

当サイトを気に入って頂けたり、体験談を読んでビビった時にポチってもらえるとサイト更新の励みになります!