植物に寄生していくモノ

カテゴリー「都市伝説」

一人で山歩きをしていた時のこと。

休憩しようと荷物を降ろすと、背側に何かがくっついているのに気がついた。

まだあまり熟れていない。
何かの果実のようだった。

薄気味の悪いことに、実の表皮にはまるで人の顔のような凹凸が浮き出ていた。

その口に見える部分で、ザックの紐に噛み付いていたらしい。
どこで取り付かれたのかは、まったく分からなかった。

物好きな彼は人面に触る気がしなかったこともあって、その果実をつけたまま山歩きを続けたそうだ。

二つ尾根を越えた所で、ボトリという落下音が聞こえた。

振り返ると、人面果が転がりながら、下生えの中に消えていくところだった。

ああやって生息圏を拡げている植物なのかな。

そう思ったのだそうだ。

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