死ねばいいのに

カテゴリー「怨念・呪い」

ちょうど1年ほど前、4月採用予定の新卒者が見習い兼ねてアルバイトとして事務所に来た。

その内の一人(女性)が挨拶をしたあとトイレに行きなかなか戻ってこない。
30分経っても帰ってこないので心配になり他の女子社員に見に行ってもらうと、「個室が一つだけ鍵が掛かった状態でノックしても呼んでも返事が無いけどどうします?」と・・・。

仕方が無いのでその女子社員と俺ともう一人の男性社員とで見に行く事にした。

始めてはいる女子トイレにどきどきしたが、そんな事言ってる場合じゃない。
で、個室の前で呼びかけるがやはり返事は無い。
何度も「入るぞ!!」と言ってドアを開けようとするが、鍵が掛かっていてはどうしようもない、仕方なくバケツをひっくり返し乗りドアの上から覗き込むと、その子が端の方でうずくまっていた。
何かを握り締め震えているようだった。

声をかけてもこちらを見る事も無い。
無理やり腰を曲げ手を伸ばしトイレの鍵を開け女子社員に入ってもらうと、「私もう無理です、かばん持ってきてください、今日は帰ります。」と言うので帰ってもらった。

翌日電話で採用辞退を伝えてきたので了解し、書類関係があるのでもう一度来社するように言ったが、会社ではなくファミレスがいいとの事。

その翌日ファミレスに行くと先日とは違い落ち着いた彼女がいた。
書類を一通り書いてもらい、最後に訳を聞くと言い難そうに話し始めた。

あの日初めて事務所に入った瞬間嫌な感じがし、挨拶をしてから席を案内され座ると、この席が嫌な感じの元だと思った瞬間、机の下に気配を感じたらしい。
足元を見ると女の人が体育座りでうずくまってこちらを睨みつけて両足をがっちりとつかまれた。
見渡すと男性社員全員の机の下から同じ顔が社員を見上げていて、女子社員の机の下には大量の髪の毛が動いていた。

そこで逃げ出しトイレでこのお守りを握り締めていたと言ってお守り見せられた。
くっきり手の型付いたお守りだった。
「そう言うの見えるほうなの?」と聞くと、まぁ見えるほうだけどこんなに強烈なのは初めてらしい。

彼女はさらに「前にあの席に居たのはどんな人ですか?かなり恨みがあるみたいな顔でした。」と。

そこで思い出したが、前にそこに居たのはA子、ごく普通の女子社員で何か問題があった訳でもなく、希望退社を募った時に手を挙げ辞めていった人だった。

で、最後に彼女が「戻ったら事務所の床を調べて盛塩とこの御札を貼ってください。」と。

社に戻ってもこんな話どう説明して良いか解らなかった。
上司には一身上の都合らしいとお茶を濁し、同僚の男性数人に夜残ってもらうように頼んだ。

まずその子が座った席の下を恐る恐る覗き込むが何もない。
な~んだ・・・と思いながら他の人の机の下を見ても何もない。
同僚からは何を探してるんだっけ?wと笑われた。

その内一人が何気なくその子が座った席のカーペットをめくって、なんかあるぞと言うのと同時にお線香の匂いがした。

事務所は今時らしくOAフロアになっていて、すのこの上にカーペットが敷いてある。
そのOAフロアの下に社員旅行の全員写真ありその上にお線香がのっていた。

皆あわてて自分の席のカーペットをめくると、今度は女子社員だけの集合写真にA子以外全員の顔に短い線香が突き刺さった写真。
女子社員の下からは髪の毛の巻かれた線香と赤く小さな文字で大量に恨みと書かれた紙・・・。
部長の席の下からは「死ねばいいのに」と乱雑に幾つも書かれた紙が出てきた。

困った事に触るのも怖い、どうするか悩んで結局教えてくれた子に電話して、「変なのがいっぱい出てきた・・・」と言うと、「それ直接触っちゃダメです、動かすなら長い箸に塩を振ってそっと袋に入れ袋にも塩を入れて口を硬く縛って直ぐにお寺のお守りとか捨てる所にもって行ってください。」と。

その通りにして同僚には口止めをした。
それから現在まで特に何かあったわけではないが、すごく気持ちの悪い体験だった。

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