皆さんは赤口(しゃっこう)さまって遊び知ってますか?
こっくりさんみたいなものなんですが、こっくりさんは占いとかの為じゃないですか?
赤口さまは違うんです。
赤口さまは呪いの為。
つまり根本的に目的が違うんですね。
ここで「そんなの聞いた事ねえよ」って人がほとんどだと思います。
それもそうでしょう。
これはもともと「表」の遊びではありません。
もともと「遊び」という言葉は今使われている意味ではなかったそうです。
「神」との交信の様な意味だったそうです。
この遊びはそういった意味の「遊び」なのです。
前置きが長くなりました。
私がこの遊びを知ったのは去年の事です。
同僚のSと飲みに言った時の事でした。
「Oのヤツ、ホント腹立つな」
ポツリとSが漏らした言葉に私はおおいに賛同しました。
Oというのは私達が所属していた部署の上司で、性格が悪い上に部下の手柄を横取りしたりするような人間で、職場の皆に嫌われていました。
しばらくOの悪口を言っていた私達ですが「なぁ。Oに一泡吹かせてみんか?」と言ってきたSに対して興味を持った私は詳しく話しを聞いてみました。
聞くところによるとSの実家の方には赤口さまという呪法があるそうです。
それを行えば呪った相手に様々な危害を与えられるというのです。
酔っていた事もあり私は「やろうやろう!」と承諾してしまいました。
それから一週間後の事です。
私の携帯にSから電話が入りました。
「こないだ言ってた赤口さまやるからHの家にきてくれや。」
すっかりそんな話など忘れていた私は正直めんどくさいのでいやでしたが、しぶしぶ行く事にしました。
軽く着替えて車に乗り込み、Hの家に向かいました。
「いつのまにかHまで巻き込みやがって・・・。」
そんなことを考えながらHの家に着きました。
中に上がるとSとHが私を迎えました。
「おう、よくきてくれたな。これ3人じゃないとできんのよ。」
そういえばこの間もそんな事をいっていました。
「これやるには3人じゃないとできん、できんのよ。」
なぜ3人なのかはその後のSの説明で解りました。
まず赤口さまをやるには3人が等間隔で三角形になるように座ります。(正三角形ですね)
そして3人の前に一枚ずつ紙を置きます。
紙には50音を書いておくのですが今私達が使っている「あいうえお」ではなく「いろはにほへと」のほうで書きます。
そして裏面に自分の名前を書きます。(Sの前の紙ならS、Hの前の紙ならHです)
一人目は二人目の方を向き二人目は三人目の方を向きます。
3人目は三角形の中央を向き、その中心に赤口さまへの供え物と同じく50音を書いた紙を置きます。(ちなみに「供え物」はSがどこからか拾ってきた野良猫でした。遊びでも気味が悪いと思いました)
「じゃあ始めるか」
Sに教わった通りに私とHは怪しげな言葉を紡ぎました。
順番はH→私→Sです。
H「一つ一人の恨みを連ね」
私「二つ二人の恨みを重ね」
S「三つ御霊を御呼びしたい」
だいたいこんな感じで始まったと思いますが、果たして周りにはなにも変化はなくHが「ははは、やっぱこんなもんか・・・」と、つぶやいたその時でした。
辺りの空気が変わったのが感覚で解りました。
さっきまで何ともなかった空間が急に重苦しくなり、言葉を発する事すらできません。
3人とも無言になり辺りが異質な静寂に包まれました。
見るとSが顔を真っ青にしながら手を4枚目の紙に伸ばしています。
指は文字を指し占め始めました。
「うらみつらぬるものをしめせ」
次にHの顔が青ざめ自分の紙に指を這わせます。
「@@@@@@(上司Oの名前)」
Hまでがおかしくなり私はこの場から逃げ出したくなりました。
しかし異変は私にも起こりました。
指が勝手に紙へ向かうのです。
そして紙の上で止まりました。
つまりは恨む相手を教えろという事なのでしょう。
「@@@@@@」
自分の意思でOの名前を指しました。
正直ここまでの事が起こるとは思いませんでしたし、もしや本当にOに何か起こるかもしれない
そう思いましたがどうする事もできません。
そしてSの番が来ました。
Sの腕は中央の腕から自分の紙へ移り「@@@@@@」と指しました。
こうして3人が3人ともOの名前を出しました。
もうこの後どうなるのか3人とも死んだような顔をしていたと思います。
するとまたSの腕が中央に向かいました。
「うらみつらみしかととどけるかわりにくちにのりをさせよ」
途端ビクンとSが震えました。
次の瞬間Sは猫に覆い被さります。
「ボシュッ」
そんな感じだったと思います。
Sは猫の首に喰らいつきました。
骨を砕き肉を喰らうSは正に鬼でした。
猫は目を飛び出しそうな程見開きましたが間もなく気味悪く痙攣し始めました。
そのままSは頭に口を移し猫の頭部を三分の一程喰らったと思います。(食事中の方すいません)
猫の頭から脳?らしき物がずり落ちていました。
Sの口は猫の血で真っ赤に染まっていました(恐らくこれが赤口さまの由来でしょう)
そこでSは正気に戻ったようです。
その場で嘔吐し猫の一部だった物はその場にでてきました。
Sはそこでうずくまりガタガタと震えていました。
私とHで無言のまま猫の死骸を片付けました。
あの時の嫌な匂いはしばらく忘れられません。
どうにかSを落ち着かせ自宅に送りました。
一人家に残されたHはさぞSを恨んだでしょう。(猫の血だけはどうしても落ちず後で床を一部取り替えたそうです)
次の日、昨夜の嫌な事を思い出していた私は会社に行きさらに驚きました。
昨夜Oが車に引かれ死んだというのです。
しかも一度引かれた後に二代目の車にひかれ頭部は破砕。
即死だったとの事でした。
私とS、Hは罪悪感よりも恐怖に怯えました。
いい様のない恐怖でした。
私達は絶対に他言すまいとこの話を封印しました。
Sはしばらくして会社を辞めました。
今はというと精神科に入院しています。
あのあとしばらくしてSはHを食べました。
ちょうどあの後から4日目でした。
といってもHは右耳を食いちぎられた程度で済みました。
Sはそのまま施設に送られました。
Hと私は今も会社に勤めています。
何故この話をここで書いたかというと私のところに赤口さまがたびたびくるからです。
「まだまだたべたりないたべたりないたべたりないたべたりないたべたりないたべたりないたべたいたべたいたべたい」
最近Sを見るとどうにも食欲が止まらなくなります。
Sも同じようで私を見る目が明らかに違います。
このままでは私達はどちらかに食われるでしょう。
これを見た方、お願いです。
どうか憎い人がいましたら赤口さまを呼んでください。
そして赤口さまに供え物を捧げ貴方の憎い人を消して下さい。
そうすれば私達は助かると思います。
お願いします。
どうか赤口さまを呼んでください。
貴方にも悪い話ではないです。
お願いします。
赤口さまを呼んでください。
お願いします。
赤口さまをよんでください。