必死で津波から逃げようとした

カテゴリー「心霊・幽霊」

体験談なんだけど、東日本大震災で家が津波で被災して、10日経つかたたないかぐらいのとき。
当時二十歳で大学生。

友人宅から小型冷蔵庫を貰った帰り、夜9時ぐらいに街灯もなく、真っ暗な道路をひとり車で走ってた。

まだ津波でひしゃげた車が多く残っていて、そこの通りは片側二車線の田舎にしては結構大きい通り。
電気屋さんや大型スーパー、パチンコ屋なんかもあったりして。

でもそのときは壊滅状態ですれ違う車も数台くらい。
死体がゴロゴロ上がった場所だったから、怖いなあなんて思いながら走ってた。

するとたまたま復興なんちゃら?の花火が空に上がってるのが見えて、いつもはそんなの全然気にしないんだけど、そのときは精神的にも肉体的にも参ってたからか、ふと路肩に車を止めて、花火を見ようと思い立った。

どうせ人通りもほとんどないし・・・と思って路肩に車を止めて、一服でもしようと思って車を降りた。

花火綺麗だなー、と思ってタバコに火をつけた瞬間、ボンネットに何かへばりついてるのに気付いた。

瞬間血の気が引いて、「アアアアアー!!!」って超叫びながらダッシュで逃げた。
ボンネットに真っ黒い人の影が、超必死にしがみついてるのが見えたから。

もう本当に怖くて、世紀末みたいな崩壊した町にひとり放り出されて恐怖でしゃがみ込んでしまった。
遠くでチカチカハザード焚いてるのが見えるけど怖くて車には戻れない。

泣きながらお父さんに電話して、迎えに来て貰った。
いつもお父さん臭い!とか馬鹿にしてたのにこのときばっかりはお父さんに抱きついてしまった。

結局車に戻ったときにはもう影は見当たらなくて、二台連なって帰った。

後日霊感のある友達にその話をしたところ、なんでも津波で亡くなった霊たちは今も必死にその場所で津波から逃げようとし続けてるんだって。
ボンネットにしがみついたのも、津波から逃げようとしていたんじゃないか、とのことだった。

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