随分と昔だが、俺がまだ小学生の時の話。
学校から帰ってくると、母ちゃんが「変な男を見た」と言ってきた。
家事を一通り終えて、15時位にソファでくつろぎながらテレビを見ていたら、見たことも無い作業服姿のおっちゃんが居間の扉を開けていきなり入ってきたとのこと。
当然家中の鍵を掛けていたので母ちゃんは相当びっくりしたらしい。
そのおっちゃんは母ちゃんには視線もくれず、居間を横切ると奥にある台所の流しに
よじ登り、灯り取りの窓を開けてそこから出て行ったとのこと。
ただ、その窓には泥棒よけの柵が付けてあるので通り抜けるなんて不可能。
「寝ぼけてたんじゃないのw」という俺を台所まで連れてきた母ちゃんが指差した先にはステンレスにベタベタと張付いた無数の大きな油手形があった。
その頃は真昼間に幽霊なんて出ないと思ってたから不思議だったんだ。