2年前のちょうど今頃だったかな。
それとも夏だったかもしれない。
大学は世間より早く長期休暇に入ってたんだ。
そんで実家に帰省していた俺は、周りに遊ぶ奴も居なかったし、暇を持て余して映画を見に行くことにしたんだよ。
その時放映が終了しかかってた思い出の◯ーニーを午前10時くらいの回(1番早い)のチケット買って指定されたシアターに入ると、発券の時から気づいてたんだが、俺以外誰1人居なかった。
その後、予告編が終わっても誰かが入ってくる気配はなく、1人で会場独占、席はど真ん中。
テンションも上がるってもんで映画にツッコミ入れたり、ツイッターで呟いたり、場内歩き回ったり好き勝手やってたんだわ。
んで、映画が終わって、場内から出ようと出口通路に向かった。
その会場が、右手にしか出入り口通路がなくて、その通路のスペース分、右端列だけ、スクリーンの目前の数列と、スクリーンから遠い、上の数列しかない状態で、その上の数列ってのが、出入り口通路の上にあるんだよ。
俺が会場から出ようとすると、嫌でも視界に入るわけだ。
するとさ、そこの1番手前の席から、細身の女が前のめりになってこっち見てんの。
薄暗いし、俺自身遠視気味で、顔はちゃんと見えなかったんだが、その女が怒ってるのは確認するまでもなく理解できた。
一瞬ビックリした後に、やっちゃったな~と思って、とにかく会釈だけしてそそくさと会場を出たんだよ。
最初は凄く恥ずかしかった。
人がいないと勘違いしていたところで、19の青年期が、最低限の節度も守れなかったことが腹立たしくもあった。
でも時間が経てば経つほど、だんだん怖くなってきたんだよ。
会場には俺1人しかいなかったんだから、そんな端を取るのも訳が分からないし、さっきも言ったが俺は場内を歩き回ったり、周りをぐるっと見渡したりもしてた。気づかないわけがないんだよ。
今でもあの前のめりの、覗き込む姿が忘れられない