以前、彼女の親戚の家で夕食をごちそうになった時の話。
食事が終わり、皆で団欒してる時にふとその親戚が「そういえば・・・」と切り出してきた。
話によると、霊媒体質の親戚は体に不調を覚え、高名な霊能者に相談に行ったらしい。
そしてその霊能者曰く、「あなたの数代前の先祖の一人に、霊としてこの世に残っている方が居る、その先祖は良い霊では無い、力を持ち人々に影響を与えている」との事。
その霊能力者の処方により、親戚の体調は治ったのだが、後日、「その先祖は人に憑き、気が向けば新たな他人に乗り移る」と言われたらしい。
話は盛り上がっていたが、夜遅くなった事もありその日は丁寧に礼を言って彼女と帰宅した。
その晩は彼女の家に泊まらせてもらう事にして早々に床についたが、深夜になると、急に息苦しさを覚え目を覚ました。
するとそこには、ベッドの真上にあるロフト部分に腰掛けた、痩せて筋張っていて真っ赤な体をした男が黄色く鋭い目で僕たちを見下ろして居ました。
記憶にあるのはここまでで、その後は朝迄ぐっすりと寝ていました。
一緒に寝ていた彼女に昨夜の事を聞いてみると、何も感じなかったらしいが、ともかく俺が酷くうなされていたとの事でした。
その後は何も変わった事はありませんが、あの僕たちを見下ろしていた男の目だけは今も忘れる事が出来ません。