そのぬいぐるみの持ち主は

カテゴリー「心霊・幽霊」

これは私がまだ小学2年ぐらいの話です。

その時異様にクラスの中で流行っていた、声を録音して再生できるぬいぐるみ(別名しゃべるぬいぐるみ)が欲しくて父親にねだりゴリラの縫い包みをある日もらいました。

ほぼ毎日それで自分の声を録音しては再生して遊んでましたが、遊びだして数週間後、夜寝ているとき、激しい暑さで起きてしまいました。

物凄い熱気で汗が滝のように流れているのですが、二段ベッドの上の段で寝ている弟は大丈夫そうでした。

なぜか私の周りだけ異常なほど暑いのです。
よく理由がわからないまま、寝ぼけていたこともあり、母親の寝室に行きその日は寝ました。

翌日、学校から帰った後、またお気に入りの縫い包みで遊ぼうと録音ボタンを押し自分のしゃべり声を録音しました。

そして再生すると・・・「ううあああああぁぁぁぁぁううぅぅ」といううめき声が!!
しかもすごい叫び声で内蔵のスピーカーの音が割れ、ビリビリという破裂音のように混じって聞こえました。
しかも10秒ぐらいしか録音できないはずが、延々と叫び声が続いていました。

私は怖くなってベランダから縫い包みを放り投げました。

その夜、両親にその話をすると母親は「故障か何かに決まってる」と、取り合ってくれませんでしたが、父親はなぜか黙っていました。

そしてあれから十数年経った最近、ふと思い出し父親にあの時のことを話してみました。
すると彼は「実はあの縫い包みは知り合いの人から譲ってもらったんだが、元の持ち主は事故で死んだその家の女の子だった」とのことでした。

父が知り合いに私がしゃべる縫い包みを欲しがっているというとくれたそうです。
その家の女の子は大の縫い包み好きで溢れるほどあったので大切に使ってもらえるなら・・ということで私に渡りましたが・・・。

ベランダから川に捨ててしまいました・・・。

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