小学生の頃、水泳習ってて、バスで毎週20分くらいかけてプールへ通ってた。
水泳教室以外では行かない場所だったから、プール周辺はよく知らない場所だった。
ある時、何時ものようにバスでプールに着いてプールへ入ろうとしてたら、蝶みたいな羽根したトンボがヒラヒラ飛んでて、珍しいんで捕まえてやろうと追っかけた。
巧みに飛ぶトンボでなかなか捕まえられなくて、何かに止まったとこを捕まえようとトンボの後を付いて行ったら、墓地の墓石に停まった。
こんな住宅地に墓地なんか在るんだな・・・なんて思ってたら、トンボが止まった墓の前に爺さんが居た。
ビックリした感じで目を見開いて俺を見てた。
俺が爺さんに「何か用?」って尋ねると、照れくさそうに知り合いの坊っちゃんに似てたとか言って帰ってった。
その間にトンボは何処かへ居なくなってて悔しい思いをした。
何週間かして、ふと思い付いてもう一度そのお墓に行って墓石を見ると、墓石の側面に何人かの名前と年齢が彫られてて、その中に俺と一つ違いの子供の名前が彫られてた。
臆測だけど、爺さんと墓石に彫られた少年は兄弟か何かで、その少年と俺が似てたんだろうと思った。
それから何年かしてもう一度見に行った時、墓石にあの時の爺さんと思われる名前が彫られてた。
たぶん兄弟だったんだろうな。
少年の名前は二郎で、爺さんと思われる名前は四郎だったからね。
不思議か?と言われたらそうでも無いが、妙に印象に残ってる出来事だった。