千葉の某つり場にて

カテゴリー「怪奇スポット」

千葉県某市のいつも行く釣り場の橋に、いつからか、変な男がいるのに気づいた。
柵にぴったりくっつき、顔を出して川を覗きこんでいる。
釣りをするわけでもなく、ただずっと川を見ている。
気がつくといて、また気がつくといなくなっている。
いつも白シャツにチノパン姿。
さして気にとめてはいなかった。

ある日、タバコを吸おうとしたらライターを忘れてきており、その男に火を借りようとした。
近づいてみてわかったのだが、男は30歳くらいで、なんだか表情に乏しいというか、何を考えているのかわからない雰囲気だった。
俺「すいません、ライター貸してもらえませんか」

男「持ってないです」

俺「そうですか、すいません。あ、僕いつもここで釣りしてるんですけど、いつもここで何を見てるんですか?川ですか?」

男「いや、僕ここで死んだもんで。なんでここから落ちたのかわからなくて、考えてるんです」

ああ、変なやつに話し掛けてしまったと思い、話を切り戻った。
何となく振り向くと、そこにはすでに男の姿はなかった。
その間十秒くらい。
たまらなく気持ち悪くなり、その日はすぐに帰った。
その後も釣り場は使っているが、たまに男を見る。
相変わらず川を見ているだけ。
他の釣り人はどうも気づいていないみたい。
すごく気持ち悪いが、なんとなく害意は感じない気がするので、見て見ぬふりをしている。
一度写メってみたが、なにも写ってなかった。

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