受験戦争の過熱期

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

昔見た2時間ドラマの話でも・・・。

ある団地に3人家族が住んでいた。
父親と母親と息子一人。
父親はごく普通のサラリーマンで、十分な小遣いから部下たちにおごったりして気さくで気前のいい上司という感じ。
母親(主人公)はおっとりとした主婦。
息子は今年6年生で、元気に小学校に行っていた。

しかし、時代は受験戦争の過熱期。
息子は周りの友人がテストでいい点を取っているのを見て、内心焦り始める。

また塾に行ってないことを「今時、塾に行かなくてどうするよ?!」と突っ込まれ、その焦りは強くなっていった。
母親の方も、団地の奥さま連中が塾や受験のことを話題にするようになって、ようやく受験勉強に気にし始めていた。

しかし、塾の講習代を見るとあまりに高額・・・さらに入塾代までいるという。
自分の家計では無理だわ・・・とも思うが、子供の「母さん、僕、塾に行きたい!みんなに置いていかれるのはイヤだ!」という涙ながらの言葉に、家計を削って塾に行かせることを決意する。

一番割を喰ったのは父親だった。
今まで十分すぎるほどの貰っていた小遣いは減り、外食はできず、新聞は電車の網棚の上にあるのをどうにかゲットする始末。
勿論、そんな上司に部下たちは「ダサーイ!」と陰口を叩く。

母親もパートを始めたが、塾では毎月の講習代だけではなく、仮模試代やら夏期講習代やら、兎に角、金が掛かった。

次第にその額は家計を圧迫し始め、そのために父親は会社から借りれるだけの金を借りた。
さすがに夏の『2週間合宿』では、そのあまりの高額に「こんなにお金は出せない」と、とうとう息子に言ってしまう。

すると息子は、「僕は可哀想だ!こんな家の子供に生まれて!!家がお金持ちだったら、僕はもっと勉強できるのに!お父さんみたいにならずに済むのに!!」と泣き叫んだ。

その言葉が胸に突き刺さった両親は、悩んだ結果、息子を夏季合宿に参加させることにする。
また、それだけでなく、息子が望むなら好きなだけ塾の特別講習を受けさせることにしたのだ。
そのために、自身の母親だけでなく、サラ金にまで金を借りる母親。
父親も追い詰められて・・・。

そして合格発表のその日。
母親と息子は緊張した面持ちで合格発表の場へと向かった。
今日、これまでの努力と苦労の結果を知ることになるのだ。
息を詰めながら番号を探す母と息子。
そして、息子は見事に合格していた。

涙を流しながら抱き合い喜ぶ母と息子。
これまでの苦労が一気に報われた。

しかしその頃、父親のもとに警察が向かっていた。
そう、父親は受験費用のため、会社の金を横領してたのだ。

このドラマを見た後、後味不味かったです。
折角あそこまで苦労して合格したのに、パァだもんなぁ。
っつーか、入学資金はどうするつもりだったんだろう・・・・・・。

母親がどんどん苦労のため老けていって、でも息子は受験に一心不乱・・・という構図が何気に怖かった。

そして当時中学生の私は、「子供は受験戦争には参加させず、ノビノビ成長させる!」と誓ったものです。

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