少女が生気のない理由

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

昔、私が中学生のころ、いっつも「よーく絵を見てくださいいい!」って誰もいないのに叫んでることで有名なおじさんが町にいたんです。

かなり有名な人みたいで、言葉は悪いけど、まあ頭のおかしな人だったんだと思います。
何をするでもなく、町をフラフラ・・・何度か警察のお世話になったこともあるらしいです。

ある日、友達と一緒の学校の帰り道、その人に遭遇しました。
相変わらず同じ文句を叫んでいて、私は別の道を行こうと思ったんですけど、友達がスタスタとその人に近づいて行って、「何が?」って聞いたんです。

友達は他にもう一人いたんですけど、私もその子もびっくり。
多分、中学生のころの特有の怖いもの知らずっていうか、イキガリっていうかだったんでしょうかね。

女の子なのに危ないよーって思いながら、見守ってたんですけどおじさんから何か貰って帰ってきました。

友達:「なんか、貰った」

封筒でした。
中を開けてみると、一枚の写真。
小さな、小学校低学年の女の子の写真でした。
不思議なのは、女の子が真顔なんですよね。
小さな子の写真なのに真顔なんて・・・。

三人で見てたら、その写真を貰ってきた子が、ヒッって言って写真を落としました。

私:「どうしたの?」
友達:「目に・・・」

言われて、見てみると目に満面の笑みのおじさんが映ってたんです。
『絵』じゃなくて『目』・・・。

おじさん:「よーく目を見てくださいいい!」

遠くから声が聞こえて、私たちは逃げるように帰りました。

今思うと、あの写真の女の子、生気がなかったように思えるんですよね。
まさかとは、思うんですけど。

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