その家はオニスジ

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

友人の話。

幼少の頃、久しぶりに里帰りした時のこと。
彼の里は山深い村で、野山を遊び駆けるのがとても楽しみだったという。
近所の子供たちと一緒に虫取りをしていると、小川にかかった橋があった。
木造の、本当に小さな手作りの橋。

ゲンゴロウでもいるかなと、橋の下に降りようとしたところ、皆が引き止めた。

「去年、○○ん家の爺ちゃんがあの橋の下に鬼を棄てたから、近よっちゃ駄目だ」

鬼だって?

そう聞き直すと、真面目な顔で全員が頷いた。
皆の顔を見ていると疑う気にもなれず、慌ててその場から這い上がったという。
子供心に怖かったのか、その後も橋の近くで遊んだという記憶はないそうだ。

「何だったんだろうなアレって。○○家の者って、オニスジとか陰口を叩かれていたけど、関係あったのかな」

もっと怖い話はないかという私の問いに、思い出し思い出し彼は語ってくれた。

「あー、ちっとも怖くなくて悪いけどな」

そういう話が良いのさ。
そう答えて礼を述べた。

ブログランキング参加中!

鵺速では、以下のブログランキングに参加しています。

当サイトを気に入って頂けたり、体験談を読んでビビった時にポチってもらえるとサイト更新の励みになります!