死の実況中継

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

これは1924年、実際にあった潜水艦沈没事故の最後の交信記録。

16時20分「衝突したようですから、発令所に命を聞きましたが、何らの応答がありませぬから発動機を停止しました。機関室の者は衝突の音響を聞いて発動機室に退去いたしました。二次電池の爆発と思わるる音を聞いて暗くなり艦が左に50度くらい傾斜しました。水がどんどん浸入してきます」

16時37分:「呼吸が苦しくなって山に登るようです」

16時45分:「空気清浄機が6個ありますから、3人で2個の割に分配して交代でこれを吸っております。演習の前に買ってもらった懐中電灯が2個ありますが、これもだんだん弱くなりました。両舷電動機が浸かりました」

17時10分:「主水缶の排水の用意はしてあるけれども、発令所の元弁が開いていないから、これを開いてください。小川機関大尉より司令へ。兵員は静かによく命を奉じて努力しております。静かに泰然として各自の配置に就いておりますから、司令から御上によく解るようくれぐれもお願いいたします。今足が海水に浸って暗い中に働いておりますから少しでも早く救援の処置を執ってください。空気が悪くなって呼吸がだいぶ苦しくなりました」

18時40分:「今日中に揚がる見込みがありますか、只今何時ですか。呼吸が苦しいから今気蓄機の空気をじりじり出しています」

19時30分万歳三唱が聞こえ、大部分の生存者は殉職。
電話の応対は以後、穴見兵曹長に切り替わる。

20時00分:「しっかり頼みます。上は暗くて大変でしょう。みな遺書を書いて持っておりますから、もう何も言うことはありません。どんどん海水が増して胸まで来ております。炭酸ガスが高まって苦しい。もう2,3人しか残っていません」

20時10分:「一身上に関しては、何も言うことはない。すでに決心しているから皆様願わくば国家のために最善の努力を頼む」

20時38分:「ただ天命を待つ」

以後、通信途絶

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