絶対に断れないバイト

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

高3の夏休み、2コ上のT先輩からバイトやらないかって電話がきた。

T先輩は地元の怖い人だ。
もちろん断る勇気は持ってない。

バイトは穴掘りで一晩5万。
破格だ。
嫌な予感がしたが断れない。

その日の夜9時に、田舎に1件しかない小さなスーパーの駐車場に集まった。
T先輩と俺のほかに3人。
計5人だ。

すぐに、2トン位のトラックが来た。

T先輩は、荷台の扉を開けみんなに乗るよう指示した。
中は真っ暗だ。

扉が閉まったと思ったら外からカギをかける音がした。

暑さと暗さで気分は最悪になった。

誰かがT先輩にどこに行くのか聞いた。

T先輩は、俺も知らない、何も聞くな、何も言うなと言った。

30分位たつと、トラックの揺れがひどくなり舗装がない道を走ってる事は理解できた。

しばらくたってトラックが止まり扉が開いた。
懐中電灯をこちらに照らしているから相手の顔は見えない。
低くて乱暴な声で、中の箱からスコップとツルハシを持って降りろと指示された。
あとをついてくるように言われ、5分ほど歩いたところで足が止まった。

ここを2メートルの大きさで2メートルの深さ掘れと言われた。

T先輩も、みんなも黙って必死で掘った。
3時間位で掘りあがった。

低い声が聞こえ、トラックに一旦戻り休憩してろと言われた。
乗る前に冷えてない缶ジュースを渡され乗り込んだ。

また外からカギをかけられる。
すぐに近くに車の止まる音が聞こえた。

なんか、金属音も聞こえる。
しばらくたつと車が走り去る音が聞こえ、扉を開けられた。

さっきの場所に戻り、掘った場所を埋めるように言われた。
中にはドラム缶が見えた。

何も考えず、ひたすら埋めた。
1時間もかからず埋め終わると、またトラックに乗せられスーパーの駐車場でおろされた。

すぐにトラックは走り去ったから低い声の人の顔は解らなかった。

T先輩から、みんなバイト代を貰うと、余計な事を言ったり詮索するなと言われた。

その夏休み、あと3回穴掘りバイトにかり出されたが、最後の日、ドラム缶の中から音が聞こえた。

手が止まったら、T先輩からさっさと埋めろと言われ従った。
その日は10万くれたが、それ以降バイトの話しはなくなった。

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